スペイン政府は5月30日、同国石油大手レプソルがカナリア諸島沖で油田開発を開始することを認可したと発表した。スペイン最大級の油田開発となる同プロジェクトは環境上の問題で凍結状態にあったが、ようやく始動にこぎつけた。
レプソルは2001年、カナリア諸島のランサローテ島、フエルテベントゥーラ島の64キロメートル沖合での油田探鉱権を政府から取得した。しかし、自然豊かな同地域の環境を破壊するとの懸念から反対運動が起こり、開発は遅れていた。
スペインの環境省は同日、レプソルの環境影響評価報告書を承認。同社が原油流出事故に備えた対策を十分に講じることを条件に、開発開始を許可した。
同油田の推定埋蔵量は9億~22億バレル。レプソルによると、日産量は最大11万バレルに上る見込みで、同国の石油需要の1割程度を賄うことができる。石油・天然ガスの99%を輸入に頼るスペインは、大きなエネルギー源を確保することになり、長く低迷していた経済を底上げする効果が期待されている。
ただ、同プロジェクトをめぐっては、地元自治体と環境保護団体が開発差し止めを求めて提訴しており、最高裁は6月10日に判決を下すことになっている。