欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/2

ロシア・CIS・その他

旧ソ連3カ国、経済同盟条約に調印

この記事の要約

ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの3カ国首脳は5月29日、経済統合の深化を目的とする「ユーラシア経済同盟」の創設条約に署名した。条約は各国議会で2014年末までに批准され、来年1月に発効する予定。これにより、人口1億7, […]

ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの3カ国首脳は5月29日、経済統合の深化を目的とする「ユーラシア経済同盟」の創設条約に署名した。条約は各国議会で2014年末までに批准され、来年1月に発効する予定。これにより、人口1億7,000万人、域内総生産2兆6,000億ドル規模の経済圏が誕生する。

3カ国は10年に関税同盟、12年に統一経済圏を発足させ、経済統合を段階的に進めてきた。経済同盟の発足により、サービスや、資本、労働力などの自由な移動が保障されるほか、エネルギーや農業など重要な分野で共通政策がとられることになる。同盟の本部はモスクワ、金融執行機関はカザフスタンのアルマトイ、裁判所はベラルーシのミンスクに置かれる。

ロシアのプーチン大統領はカザフスタンのアスタナで開かれた条約調印式で、条約は「画期的で歴史的な意味を持つ」と述べ、加盟国は経済的ポテンシャルを開拓し、世界経済における地位を強化することができるとしてその意義を強調した。ただ、同盟内では人口、総生産ともに8割以上を占めるロシアの圧倒的な影響力に対する警戒感は強い。カザフスタンのナザルバエフ大統領は同盟について「あくまでも経済同盟であり、各国の独立や主権に関わる問題は触れられない」と述べ、統合が政治分野にまで踏み込むことがないようクギを刺した。

ロシアは米国やEU、中国に対抗しうる経済圏の創出を目指し、旧ソ連諸国の再結集を図っている。ユーラシア経済同盟にはアルメニアとキルギスも加盟を表明しているが、一方で旧ソ連圏2位の大国であるウクライナの参加は見込めず、統合効果は限定的なものにとどまると指摘する声もある。