欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/16

EU産業・貿易

ニシン漁めぐる紛争でフェロー諸島と和解、制裁解除へ

この記事の要約

欧州委員会は11日、北東大西洋でのニシン漁をめぐるフェロー諸島との間の紛争で和解に達したと発表した。これに伴い、ニシンなどの輸入禁止や漁船の寄港拒否などのフェロー諸島に対する制裁措置を近く解除する。 EUとデンマークの自 […]

欧州委員会は11日、北東大西洋でのニシン漁をめぐるフェロー諸島との間の紛争で和解に達したと発表した。これに伴い、ニシンなどの輸入禁止や漁船の寄港拒否などのフェロー諸島に対する制裁措置を近く解除する。

EUとデンマークの自治領であるフェロー諸島、ロシア、ノルウェー、アイスランドは大西洋北東海域のニシン漁について、協議の上で漁獲枠を設定し、昨年末まで同合意を順守することを取り決めていた。しかし、フェロー諸島が自国水域におけるニシンの生息数が増加したことを理由に合意を一方的に破棄し、2013年の漁獲枠を12年比で145%引き上げたため、EUが反発。欧州委員会は8月、制裁としてニシン、サバや、それらを使った加工食品の輸入禁止と、フェロー諸島の水域でニシン、サバ漁を行う漁船がEU内に入港することを禁止する措置を発動した。これに対してフェロー諸島は制裁措置を発動したのは不当として、世界貿易機関(WTO)に提訴。WTOは2月下旬に紛争処理小委員会(パネル)の設置を決めていた。

欧州委によると、フェロー諸島は北東大西洋での「持続不可能な」ニシン漁をやめ、WTOへの提訴を取り下げることに同意した。これを受け、欧州委は制裁措置の解除に必要な法的手続きに着手する。ダマナキ委員(漁業・海事担当)は、「長く徹底的な交渉の結果、ニシンをめぐる紛争が近く過去のものとなるであろうことに満足している」とのコメントを発表した。