2014/6/30

総合 – 欧州経済ニュース

次期欧州委員長にユンケル氏指名、英の抵抗実らず=EU首脳会議

この記事の要約

EUは27日にブリュッセルで開いた首脳会議で、欧州委員会の次期委員長にルクセンブルクのユンケル前首相(59)を指名した。同人選は欧州議会が7月中旬に開く本会議で承認する見通しで、ユンケル氏は任期満了となるバローゾ現委員長 […]

EUは27日にブリュッセルで開いた首脳会議で、欧州委員会の次期委員長にルクセンブルクのユンケル前首相(59)を指名した。同人選は欧州議会が7月中旬に開く本会議で承認する見通しで、ユンケル氏は任期満了となるバローゾ現委員長の後任として11月に正式就任する。ただ、ユンケル氏の次期委員長指名をめぐっては、強硬に反対する英国と他の加盟国が対立し、初めて全会一致では決まらなかったため、大きなしこりが残す結果となった。

EUの内閣に当たる欧州委員会の委員長の人選は、これまで欧州理事会(EU首脳会議)が決定し、欧州議会が追認するシステムだった。しかし、2009年に発効したEUの新基本条約「リスボン条約」によって、理事会は欧州議会選挙の結果を考慮することになったため、先の欧州議会選では各会派が委員長候補を擁立し、選挙戦に臨んだ。

5月下旬に実施された議会選では、反EU勢力が躍進したものの、中道右派の欧州人民党(EPP)が第1会派の座を守ったため、EPPが擁立したユンケル氏の次期委員長就任がすんなり決まるかに思われた。ところが、議会選で与党・保守党が惨敗し、反EUの独立党(UKIP)が第1党となった英国のキャメロン首相が、EU統合推進派として知られるユンケル氏の委員長就任は、今回の選挙で示された民意に反するとして反発。19年間にわたってルクセンブルクの首相を務め、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の初代議長としてユーロ危機対応に奔走したベテラン政治家である同氏を支持する独メルケル首相などと対立し、調整が難航していた。

首脳会議では、これまで常に全会一致で欧州委員長を指名してきた。しかし、今回はキャメロン首相が反対姿勢を崩さなかったため、初めて採決に持ち込まれ、賛成多数でユンケル氏の指名が決まった。英国に同調したのはハンガリーだけで、採決は26対2という大差だった。

英国では伝統的に国家主権を重視し、EU統合の深化に懐疑的。EUの“中央集権化”が進む中、EUからの離脱を求める動きが広がっており、キャメロン首相は来年に再選されれば2017年にEU離脱の是非を問う国民投票を実施すると明言している。EU離脱を避けたい同首相は、EU離脱支持派の不満を吸収するため、ユンケル氏の欧州委員長就任に抵抗したが、実を結ばなかった。

EUは7月16日に臨時首脳会議を開催し、任期満了を迎えるファンロンパイ大統領(欧州理事会常任議長)、アシュトン外交安全保障上級代表(EU外相)などEUの要職の後任や、欧州委員会の一般委員の人選を協議する。委員長の人選をめぐって深まった英国との溝を埋め、EU離脱を阻止するために、重要ポストを英国に提供すると目される。さらに、EUは首脳会議閉幕後に発表した総括文書で、「EUの将来の発展に関して英国が提起した懸念に対応する」として英国への配慮を示し、EU統合の深化に批判的な国の意向を「尊重していく必要がある」という文言を盛り込んだ。また、欧州委員長の人選に関しても、欧州会に大きな権限を与える新システムを英が批判していることを考慮し、制度見直しを検討すると明言した。

欧州議会では、第2会派の中道左派・欧州社会党が選挙結果を受けて、次期EU外相などの要職人事でEPPの協力を得る代わりに、ユンケル氏の次期欧州委員長就任を支持しており、7月16日の本会議で同氏の委員長就任が承認されるのは確実な情勢だ。