欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/23

EUその他

後発薬の参入阻害問題、仏セルヴィエなど制裁へ

この記事の要約

欧州委員会は仏製薬大手セルヴィエやイスラエルの後発薬最大手テバファーマスーティカル・インダストリーズなどに対し、EU競争法違反で制裁金を科す方針を固めたもようだ。ロイター通信が19日、事情に詳しい関係者の話として報じた。 […]

欧州委員会は仏製薬大手セルヴィエやイスラエルの後発薬最大手テバファーマスーティカル・インダストリーズなどに対し、EU競争法違反で制裁金を科す方針を固めたもようだ。ロイター通信が19日、事情に詳しい関係者の話として報じた。欧州委はセルヴィエが後発薬の発売を遅らせる見返りとして、テバを含む複数の後発薬メーカーに対価を支払ったとの調査結果をまとめ、7月中に関係各社に対して制裁金の支払いを命じるとしている。

欧州委は2009年、大手製薬会社が特許の囲い込みなどさまざまな手法を用いて安価な後発薬の参入を遅らせており、その結果、EU市場で販売される医薬品の価格を最大20%押し上げているとする報告書をまとめた。特に後発薬メーカーが自社製品の上市を遅らせる見返りに、特許を持つ先発薬メーカーから金銭を受け取る「ペイ・フォー・ディレイ(pay for delay)」または「リバース・ペイメント(reverse payment)」と呼ばれる和解方法を問題視し、その後は競争法の観点からこうした商慣行に対する監視を強化してきた。

今回問題となっているのは、セルヴィエの高血圧治療薬「ペリンドプリル(perindopril)」をめぐる同社と後発薬メーカーの協定。欧州委はセルヴィエがテバや米マトリックス・ラボラトリーズ(現マイラン・ラボラトリーズ)をはじめとする後発薬メーカーとの間で、特許切れが近づいていたペリンドプリルの後発薬の市場投入を遅らせる見返りに、相当額の金銭を支払うなどの反競争的合意を結んだ疑いがあるとして、12年7月から調査を進めていた。欧州委の報道官とテバはロイターの取材に対し、コメントを控えている。

欧州委は製薬会社と後発薬メーカーの協定をめぐり、これまで4件の事案について競争法違反の調査を実施している。13年6月にはデンマークのルンドベックが複数の後発薬メーカーと不当な協定を結び、抗うつ剤の後発薬の発売を遅らせたとして総額1億4,600万ユーロの制裁金を科した。さらに昨年12月には米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の鎮痛剤をめぐり、同社とスイスのノバルティスに合わせて約1,600万ユーロの制裁金を科している。