欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/14

西欧

オリーブ油世界最大手デオレオ、英投資会社が買収へ

この記事の要約

オリーブオイル世界最大手のデオレオ(スペイン)は10日、英投資会社CVCキャピタル・パートナーズの買収提案を受け入れると発表した。CVCはスペインの銀行が保有するデオレオ株の約30%を取得した上で、残り株を株式公開買い付 […]

オリーブオイル世界最大手のデオレオ(スペイン)は10日、英投資会社CVCキャピタル・パートナーズの買収提案を受け入れると発表した。CVCはスペインの銀行が保有するデオレオ株の約30%を取得した上で、残り株を株式公開買い付け(TOB)を通じて取得する。

デオレオはスペイン産オリーブ油の世界的ブランド「カルボネール」「オヒブランカ」で知られる。イタリアの「ベルトーリ」「カラペリ」ブランドも保有している。2013年の売上高は8億1,300万ユーロ。

同社は積極的な買収が裏目に出て巨額の債務を抱えたことから、身売りを決定。大株主であるスペインの4銀行が保有する株式31.7%を含む買い手を募集していた。4銀行は、カイシャバンク、地銀のクチャバンクと、経営難で国有化された貯蓄銀行のバンキア、公的資金を注入されたBMN。バンキアとBMNは公的救済の条件として求められている資産売却の一環、残る2行は資本規制強化に備えた増資のため、持ち株を放出する方針だった。

デオレオ買収には、投資会社の米カーライル、仏PAIパートナーズや、イタリアとカタールの政府系ファンドの連合なども名乗りを上げていたが、CVCが最高額を提示し、デオレオ取締役会の同意を取り付けた。

デオレオによると、CVCはまず大株主から株式29.99%を1株当たり0.38ユーロで取得する。さらに、TOBで残る株式を同価格で取得する。全株式を取得した場合の買収額は4億3,900万ユーロに上る。

1株当たりの買い取り価格は、同日終値の0.425ユーロを下回るが、同社の株価は買収観測が浮上してから急騰していた。また、CVCはデオレオの増資を引き受けるほか、向こう2年間に満期を迎える社債の償還費用を融資する。

消息筋によると、株式29.99%はバンキア、BMNの持ち分。カイシャバンクとクチャバンクは売却を見送った。

デオレオをめぐっては、同社を国家の戦略的企業と位置付けるスペイン政府が外資への売却に難色を示していた。2行の方針転換にも、政府の意向が反映されたもよう。それでも、ロイター通信は、CVCの買収提案は魅力的で、半分以上の株主がTOBに応じる見込みと報じている。