5月のユーロ圏インフレ率0.1%、デフレ寸前の状況に

EU統計局ユーロスタットが5月29日に発表したユーロ圏の同月のインフレ率(速報値)は前年同月比0.1%となり、前月の0.3%から0.2ポイント縮小した。エネルギー価格の下落が加速し、4年ぶりの低水準となった。デフレ寸前の状況に陥っており、欧州中央銀行(ECB)が対応を迫られそうだ。(表参照)

インフレ率の縮小は4カ月連続。1月には1.4%まで回復していたが、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞などを受けた原油価格の急落で、エネルギー価格の上昇率がマイナスに転落した2月から鈍化が加速している。

5月はエネルギーの下落率が12%と、前月の9.7%から大幅に拡大。工業製品はプラス0.2%となったが、上昇率は0.1ポイント縮小した。サービスはプラス1.3%で、0.1ポイント上回った。ECBが重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は前月から横ばいの0.9%だった。

データが公表されていないオーストリアを除くユーロ圏18カ国のうち、12カ国がマイナスとなっている。主要国の下げ幅はスペインが0.9%、イタリアが0.2%。ドイツは0.5%、フランスは0.2%のプラスだったが、上昇率はそれぞれ前月の0.8%、0.4%を下回った。

ユーロ圏のインフレ率はECBが目標とする2%を大きく割り込み、デフレ突入の気配が漂ってきた。ECBとしては新型コロナ危機に伴う景気後退に追い打ちをかけるデフレは何としても避けたいところで、市場では近く量的金融緩和の拡大を決めるとの見方が急浮上している。

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