商船三井が独ユニパーと傭船契約、洋上LNG基地プロジェクトで

商船三井は5月26日、独北部のヴィルヘルムスハーフェン港で推進する洋上LNG 受入基地プロジェクトの事業化に向け、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)の長期傭船契約を現地エネルギー大手ユニパーと締結したと発表した。LNGターミナルがドイツに建設されるのは初めて。独・欧州の天然ガス調達先が多様化し、エネルギー供給の安定につながると期待されている。

両社は2018年、同プロジェクトで基本合意した。今回はFSRU1隻の20年間の発効条件付き長期傭船契約をユニパーの完全子会社LNGターミナルヴィルヘルムスハーフェン(LTW)と締結した。ユニパーは今後、プロジェクトのマーケティング活動を実施し、最終投資決定を目指す。

FSRUの建造は韓国の大宇造船海洋(DSME)が引き受ける。同FSRUは貯蔵容量が26万3,000立法メートルで、再気化能力はドイツの年間需要の約1割に当たる100億立方メートルに上る。

FSRUは陸上設置型のLNGターミナルに比べて建設のコストが低く、期間も短いことから、事業リスクを低く抑えることができる。ヴィルヘルムスハーフェンに白羽の矢を立てたのは◇必要なインフラがすでに整っている◇既存のガスパイプライン・貯蔵インフラが近くにある◇水深が深いため、大型のLNGタンカーでも問題なく入港できる――というメリットがあるためだ。

ドイツは主にロシアと北海産の天然ガスをパイプラインで輸入している。このうちロシア産は地政学的なリスクが大きく、政府は依存を引き下げたい考え。北海産も将来的に産出量の減少が見込まれることから、今後は欧州域外からのLNG輸入が伸びるとの見方がある。

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