フランスの高級食料品店フォションは23日、パリにある本社と直営店を運営するグループ企業が商業裁判所に更生手続きを申し立てたと発表した。新型コロナウイルス感染拡大などの影響で販売が落ち込み、破綻に追い込まれた。今後は管財人の管理下で再建を図る。
フォションは1886年創業の老舗食料品店。国内ではパリのマドレーヌ広場で3つの直営店を運営しているが、2015年のパリ同時多発テロや、年金改革への抗議で18年に始まった「黄色いベスト運動」と呼ばれる大規模デモの影響で、主要顧客である観光客が減り、赤字が続いていた。これに新型コロナ危機が追い打ちをかけ、経営存続が難しくなった。
同社は日本など海外に73店のフランチャイズ店がある。ここ数年はパリ事業の不振で、グループ売上高の大半をフランチャイズ店のロイヤルティー収入に頼る状態にあった。海外の店舗や18年にパリで開業した高級ホテルは営業を続ける。2つめのホテルを年内に京都で開業する計画も変更はないという。