ユーロネクスト、イタリア取引所買収で合意

フランスを本拠とする欧州の多国籍取引所ユーロネクストは9日、ロンドン証券取引所(LSE)傘下のイタリア取引所を買収することで合意したと発表した。買収額は43億2,500万ユーロ。2021年上期の買収手続き完了を見込む。

LSEは19年8月、金融情報やリスク管理などのサービスを提供するリフィニティブを買収すると発表した。しかし、EUの欧州委員会が、LSEとリフィニティブが欧州の国債の電子取引で大手となっており、LSEが買収によって同分野でのシェアを大きく拡大することなどを問題視し、認可に難色を示している。このため、伊国債を中心とする債券の電子取引システムを運営するMTSを持つイタリア取引所の売却に乗り出し、9月中旬からユーロネクストと交渉を進めていた。

パリ、ブリュッセル、アムステルダム、リスボン、ダブリン、オスロの証券取引所を運営するユーロネクストは、イタリア政府系金融機関の預託貸付公庫(CDP)、伊大手銀行のインテーザ・サンパオロと共同でイタリア取引所を買収する。伊国債の大半が取引されるMTSの支配権をめぐる政府の懸念に対応するため、イタリア陣営と手を組んだ。買収が実現すれば、CDPとインテーザ・サンパオロがユーロネクストの増資を引き受けて大株主となり、イタリア人がユーロネクストの取締役会長になる。

欧州委はリフィニティブ買収の可否を12月16日までに最終判断することになっている。

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