EUのコロナワクチン輸出規制、12月末まで延長

欧州委員会は9月30日、EU域内で製造された新型コロナウイルス用ワクチンの輸出規制を延長すると発表した。延長は2度目。同日が期限だったが、21年12月末まで3カ月延長する。

欧州委は声明で、EU内ではワクチンが順調に供給されているものの、感染力が高い新たな変異株が出現する恐れがあるなどコロナ感染をめぐる情勢は依然として不透明だと指摘。域内に今後も十分なワクチンを供給できるようにするため、輸出規制の延長を決めたと説明している。

EUは新型コロナワクチンの調達契約を結んだ製薬会社による供給が予定より遅れ、域内でのワクチン接種が思うように進んでいなかったことから、域内で製造された新型コロナワクチンの域外への輸出を1月30日から許可制にしている。EUとワクチン供給契約を結んでいる製薬会社は、域内の工場で製造したワクチンを域外に輸出する際、生産拠点がある国の政府とEUの許可を得る必要がある。

EUと事前契約を結んだ製薬会社が、契約を順守して域内に供給しているか、輸出先の国が自国内で製造されたワクチン、原材料を囲い込み、輸出を制限していないかなどをチェックし、問題があると判断すれば輸出を差し止めるというシステムだ。

同措置には国際社会からワクチン囲い込みとの批判が出ており、これまでに不許可となったのはアストラゼネカが伊国内で製造したワクチンのオーストラリア向け輸出(約25万回分)を3月に差し止めたケースだけだ。

輸出規制の期限は、当初は6月末だったが、9月末まで延長された経緯がある。欧州委は声明で、さらなる延長はしないことを明言。22年1月から許可制を廃止し、ワクチン輸出に透明性をもたせることを目的とした監視制度に切り替える意向を表明した。今後3カ月以内に監視制度の詳細を決める。

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