欧州委員会は10月27日、国際規模で事業を展開する銀行を対象とする新たな自己資本規制「バーゼル3」の最終化について、EUでの実施時期を2年延期する意向を表明した。国際合意では23年1月から段階的に実施することになっているが、2025年1月に繰り下げる。
バーゼル3は自己資本比率を算出する際に、リスク資産の見積もりを厳しくすることで、自己資本の算定を厳格化することを柱とする内容。これによってEUの大手銀行の多くは自己資本比率が下がり、資本増強が必要になると目されている。
主要国の金融監督当局で構成されるバーゼル銀行監督委員会は当初、最終化を22年1月から実施することで合意していた。しかし、上位機関の中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループは20年3月、新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ、1年延期して23年1月から実施することで合意していた。
欧州委は2年延期について、コロナ禍で打撃を受けたEU域内の銀行が回復し、新規制に十分に対応できるようになるまで時間がかかることや、銀行や監督機関に関連システム整備の時間が必要なことなどから「現実的な」スケジュールだとしている。