スイス製薬大手のノバルティスは10月26日、後発医薬品部門サンドについて、撤退を視野に入れていることを明らかにした。サンドは業績が振るわず、同社はこれまで再建に取り組んできたが、ヴァサント・ナラシンハン最高経営責任者(CEO)は「サンドの長期の戦略的な位置は何かを検討するのに適切な時期だ」として、手元に残すほか、売却や分離も検討する。2022年末までに結論を出す方針だ。
サンドはイスラエルのテバ、米ヴィアトリスとともに後発医薬品3大メーカーのひとつとなっている。傘下に独ヘクサールなどを持つ。売上高は約100億ドルで、ノバルティス全体の約20%を占める。ただ、収益力は低く、ノバルティスの足かせになっている。
背景には後発薬市場の競争が厳しいことがある。特に最大市場の米国では値下げ圧力が高い。業界ではすでに再編の動きが活発化している。
サンドを大手同業に売却することは難しい。独禁法上の規制に抵触する懸念が強いためだ。IPOも後発薬メーカーの市場評価が低いことから公開益は低水準にとどまる見通し。このため、分離する場合は投資会社への売却が有力とみられている。