欧州委員会のマクギネス委員(金融サービス・金融安定・資本市場同盟担当)は18日、英国に拠点を置く中央清算機関(CCP)がEU域内の顧客向けのユーロ建てデリバティブ取引決済業務を2025年6月末まで継続することを認める方針を示した。22年6月末が期限だったが、3年間延長する。加盟国の同意を経て正式決定となる。
欧州ではロンドン証券取引所(LSE)グループのLCHがユーロ建てデリバティブ取引の中央清算機関として圧倒的なシェアを握っている。EUは英国の離脱によって同国のCCPがEU規制の対象外となるため、デリバティブ決済で英に過度に依存するのはリスクがあるとして、同取引の清算を域内の機関に一元化することを決定。英国のCCPの顧客となっているEUの銀行や資産運用会社に同決済を域内に移すよう呼びかけてきた。
しかし、コストなどが問題となって移行が進まないことから、欧州委は20年6月、英のEU完全離脱(21年1月)と同時に域内の顧客が英の清算機関を利用できなくなるとデリバティブ取引の決済処理が混乱するとして、22年6月末までは英のCCPがEU市場にアクセスすることを認めると発表。さらに、21年11月には同期限を延長する意向を表明したが、新たな期限は未定だった。