欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/10/27

EUその他

「スカイチーム」3社、発着枠の一部返上を提案

この記事の要約

欧州委員会は21日、欧州航空大手エールフランス-KLM、伊アリタリア、米デルタによる米国と欧州間の共同運航事業について調査を進めている問題で、3社から発着枠の一部返上などの提案があったことを明らかにした。欧州委は今後1カ […]

欧州委員会は21日、欧州航空大手エールフランス-KLM、伊アリタリア、米デルタによる米国と欧州間の共同運航事業について調査を進めている問題で、3社から発着枠の一部返上などの提案があったことを明らかにした。欧州委は今後1カ月にわたって意見募集を行い、競合他社などからの反論がなければ妥当な是正措置と認定し、3社に対する調査を打ち切る。

航空連合「スカイチーム」に加盟する3社は2009年から10年にかけて、欧州と北米を結ぶ太平洋路線での提携で合意。乗客数や運航スケジュールから運賃、収益に至るまで全面的に3社で調整している。これに対し、欧州委はこうした商慣行が健全な競争を阻害し、結果的に料金やサービス面で旅客に損失を与えている疑いがあると指摘。特にパリ~ニューヨーク便(ファーストおよびビジネスクラス)、アムステルダム~ニューヨーク便(全クラス)、ローマ~ニューヨーク便(同)で料金の上昇を招いている可能性があるとして、12年1月から調査を進めていた。

欧州委によると、3社は問題視されている路線で「競合する航空会社が新規参入または事業拡大しやすくする」ため、アムステルダム、ローマ、ニューヨーク(ジョン・F・ケネディおよびニューアーク・リバティー)の各空港の発着枠を一部返上する案を提示。このほか3路線で事業展開する競合他社が接続便にアクセスしやすくしたり、他社の旅客がマイレージプログラムを利用できるようにすることなどを提案している。

欧州委は航空同盟の商慣行をめぐり、主要空港における発着枠の一部返上などを条件として、10年7月に「ワンワールド」に加盟する英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、スペイのイベリア航空、アメリカン航空、13年5月には「スターアライアンス」に加盟する独ルフトハンザ、米ユナイテッド航空、エア・カナダによる大西洋路線での共同運航事業を認可している。