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2010/12/22

CIS諸国

ベラルーシ大統領選挙、ルカシェンコ氏が4選決める

この記事の要約

ベラルーシ選挙委員会は20日、前日に実施された大統領選挙で現職のルカシェンコ氏が79.7%の票を獲得し、4選を果たしたと発表した。欧州連合(EU)が公正な選挙を条件に多額の資金援助を約束したことで、野党候補に一定の選挙運 […]

ベラルーシ選挙委員会は20日、前日に実施された大統領選挙で現職のルカシェンコ氏が79.7%の票を獲得し、4選を果たしたと発表した。欧州連合(EU)が公正な選挙を条件に多額の資金援助を約束したことで、野党候補に一定の選挙運動を認めるなど、新たな動きがあった今回の選挙戦。しかし、中立・公正とはほど遠く、野党陣営は票の不正操作があったとして選挙の無効を訴えている。

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投票終了後には、治安警察による弾圧が再び顔を現している。支持者とともに抗議集会へ向かった野党候補者のネクリャエフ氏は頭部を殴打されたあげく、入院中の病院から警察に連行された。ほかにも、集会に向かう市民が警察官に頭を殴られるなどの妨害を受けたほか、行政府の建物に突入しようとした集会参加者と治安警察官が衝突する事件も起きている。選挙期間中に許されていた野党候補者のネットサイトはほとんどが不通となった。

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野党陣営の発表によると、ルカシェンコ大統領の実際の得票率は30.7%、2位のネクリャエフ氏は18%だった。これが本当であれば、決選投票が行われるはずだ。票の操作が容易な不在者投票の比率が23.1%に上っていることからも、選挙の公正さに疑問が投げかけられている。

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選挙監視団を送り込んだ欧州安全保障協力機構(OSCE)は20日のプレス発表で、「選挙運動や投票作業の印象は良好だったが、開票に入って評価がぐっと悪化した」とし、選管委員の99%以上を与党支持者が占めるなど、開票作業や不在者投票の不正操作を防ぐシステムが欠けていると指摘した。また、投票日の夜に野党候補や支持者、記者など数百人が拘禁されたことを強く批判した。

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ルカシェンコ氏は、ベラルーシがソ連から独立後、1994年に実施された最初の大統領選で当選した。強権的な政治運営で欧米諸国からは「欧州最後の独裁者」と批判されている。2004年の憲法改正で、大統領3選禁止条項を改正し、06年の選挙で当選。今回の再選も確実視されていた。

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ルカシェンコ氏は当初、ロシアとの関係緊密化を目指し、1999年にはベラルーシ主導でロシアと連合国家創設条約を結んだ。しかし、翌2000年に就任したプーチン大統領が、ベラルーシ併合発言を繰り返したことで計画はとん挫。最近ではエネルギー価格の問題で両国間の対立が表面化しており、ルカシェンコ氏はEUへの接近を図っていた。

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