2012/5/9

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

セルビアでダブル選挙、与野党が拮抗

この記事の要約

セルビアで6日、議会選挙と大統領選挙が同時に実施された。議会選ではタディッチ大統領率いる民主党(DS)が得票率を大きく落とし、第2党に転落した。経済の不振や高官の汚職で政府に対する国民の不満が強まっていることを示した格好 […]

セルビアで6日、議会選挙と大統領選挙が同時に実施された。議会選ではタディッチ大統領率いる民主党(DS)が得票率を大きく落とし、第2党に転落した。経済の不振や高官の汚職で政府に対する国民の不満が強まっていることを示した格好だ。一方、大統領選では同大統領が対抗するニコリッチ候補(進歩党:SNS)をわずかながらリードしている。当選者は20日の決選投票で決まる。

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現地放送局のB92が開票率78.8%の段階で報じたところによると、欧州連合(EU)への早期加盟を公約した民主党は、2008年の前回選挙から得票率を15ポイント以上落とし、24.4%にとどまった。ニコリッチ大統領候補が率いる右派、進歩党は24.1%で第1党に躍進した。このほか、社会党(SPS)が14.4%、セルビア民主党(DSS)が6.9%、自由民主党(LDP)が6.6%となり、議席を獲得した。急進的民族主義のセルビア急進党(SRS)は5%に届かず、議会入りが成らなかった。投票率は58%と前回選挙を3ポイント下回った。

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議席配分は、民主党が68、進歩党が73、社会党が44、セルビア民主党が21、自由民主党が20となる見通しだ。

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選挙戦の主な争点は、(1)欧州連合(EU)加盟(2)社会政策(3)経済政策――など。(1)は民主党が積極的に加盟を推進する立場であるのに対し、進歩党は「西と東に根付いたセルビア」を目指すとし、加盟条件として「コソボに対するセルビアの権利維持」を挙げるなど、民族主義的な立場を明確にしている。

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(2)について民主党は「普通の市民の生活水準向上」を約束。(3)については、進歩党が雇用創出と外国からの投資誘致を実現すると訴えた。セルビアは失業率が24%に達し、経済の不振が深刻化している。

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アナリストらは、民主党と社会党、新欧州派でコソボ独立を唯一容認している自由民主党が連立する可能性が最も高いとみている。いずれにしても、連立には社会党の協力が不可欠で、ダチッチ党首は自身の次期首相就任を確実視している。

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一方、大統領選挙は開票率33%の段階で、現職のタディッチ氏が26%、対抗するニコリッチ氏が25%弱と拮抗状態だ。過半数を獲得した候補者がいなかったため、20日に決選投票が行われる。ここでも、ダチッチ氏が得た14%の票がどの候補に流れるかが結果を大きく左右することになりそうだ。

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