2019/11/20

総合・マクロ

キプロス沖ガス採掘めぐりトルコに制裁、資産凍結と域内への渡航禁止など

この記事の要約

欧州連合(EU)は11日に開いた外相理事会で、トルコがキプロスの排他的経済水域(EEZ)内で「違法に」ガス田の採掘を続けているとして、同国に対する制裁措置の導入で合意した。トルコはEUの対応を強く非難しており、対立が先鋭 […]

欧州連合(EU)は11日に開いた外相理事会で、トルコがキプロスの排他的経済水域(EEZ)内で「違法に」ガス田の採掘を続けているとして、同国に対する制裁措置の導入で合意した。トルコはEUの対応を強く非難しており、対立が先鋭化する可能性がある。

地中海東部のキプロス島周辺では10年ほど前からガス田が相次いで発見されている。トルコは今年5月、キプロス島西方に掘削船を派遣して探索に着手した。トルコが採掘活動を展開する海域はキプロスのEEZ内にあるため、EUは作業を停止しなければ制裁を科すと繰り返し警告した。しかし、トルコはキプロスを国家として承認しておらず、キプロスに同海域での資源開発の権利はないと主張。このためEUは7月、トルコとの高官級協議を当面停止するほか、航空協定締結に向けた交渉を凍結する方針を決定。その後もトルコ側が停止要請に応じないため、追加的な措置を検討していた。

新たに導入される制裁は、採掘活動に関わる個人や企業の資産凍結とEU域内への渡航禁止が柱。さらに域内の個人や企業による制裁対象者への資金提供も禁止する。ただ、制裁の開始時期や適用期間など詳細は定めていない。

トルコのエルドアン大統領は12日、EUがトルコに対する経済制裁を決めたことに強く抗議。「欧州へのドアは開かれており、IS戦闘員は近く本国に送還されることになるだろう。EUはキプロス問題をめぐってトルコを威嚇しようとするべきではない」と述べた。

トルコ内務省は11日、ISの米国人戦闘員1人の送還を完了し、欧米出身の戦闘員25人も本国に送還すると表明。ソイル内相は13日、ドイツとオランダがIS関係者の送還に同意したことを明らかにした。トルコはこれまで世界各国からISに合流した戦闘員ら約1,200人を拘束していたとされる。