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2010/2/17

ゲシェフトフューラーの豆知識

制服の着替え、外見が目立つ場合は勤務に該当=最高裁

この記事の要約

始業時間や終業時間、休憩時間などは労働組合との協定や法律で特別な定めがない限り、経営者と従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)が共同で決定しなければならないことが、事業所体制法(BetrVG)8 […]

始業時間や終業時間、休憩時間などは労働組合との協定や法律で特別な定めがない限り、経営者と従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)が共同で決定しなければならないことが、事業所体制法(BetrVG)87条に定められている。つまり事業所委員会がある企業では雇用主が労働時間を一方的に決定してはならないのである。

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では、制服の着用が義務づけられている職場ないし職種で制服の着替えは勤務の一部とみなされ勤務時間に算入されるべきなのだろうか、それともその逆なのだろうか。この問題にからむ係争で雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)は昨年11月に判決(訴訟番号:1 ABR 54/08)を下した。

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裁判を起こしたのはスウェーデン系家具販売大手イケアの店舗(公開された判決文では「B店」と表記)の事業所委員会。判決文によると、B店では2007年3~4月にかけ、制服から私服に着替えた後でタイムカードを打ち退社していた社員に対し警告状が出された。つまり経営陣は着替え時間を勤務時間と見なさないと判断したのである。

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これに対し、事業所委員会は事業所体制法87条に定める勤務時間の共同決定権を侵害されたとして同社を提訴。最終審の連邦労裁で勝訴した。

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判決理由で同裁の裁判官は、制服を着用したまま出勤しても外見上、特に目立たない場合は着替えの時間が勤務時間に当たらないが、そうでない場合は勤務時間に該当するとした2000年の連邦労裁判決を指摘。そのうえで、青と黄色を配色したイケアの制服は第3者が見てもそれと分かり目立つものだと断定し、着替えは勤務の一部だとの判断を示した。

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