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2010/4/14

経済産業情報

聖骸布の略奪をヒトラーが画策?

この記事の要約

カトリックには聖遺物というものがある。キリストや聖人の遺品ないし接触したものを指し、病気やけがを治す不思議な力も持つ存在として崇めたてまつられてきた。キリストが磔にされた十字架、手足に打ちつけられた釘、脇腹に刺された槍な […]

カトリックには聖遺物というものがある。キリストや聖人の遺品ないし接触したものを指し、病気やけがを治す不思議な力も持つ存在として崇めたてまつられてきた。キリストが磔にされた十字架、手足に打ちつけられた釘、脇腹に刺された槍などがこれに当たり、これらはそれぞれ聖十字架、聖釘、聖槍と呼ばれる。

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そうしたものの1つに聖骸布といいうものがある。これはキリストの遺骸を包んだとされる布で、トリノの大聖堂に長く保存されてきた。男性の全身像がネガ状に転写されているように見え、血痕もついている。

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この聖骸布をナチスドイツの独裁者ヒトラーが手に入れようとしていたとする説を、カルディンというイタリアの神父が最近発表し、関心を集めている。

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聖骸布は第2次世界大戦が勃発した1939年から終了した45年までの間、南イタリアのモンテヴェルギーネ修道院に安置された。イタリア国王ヴィクトール・エマヌエル3世が戦争で失われることを恐れ、バチカンに保管を依頼。バチカンはモンテヴェルギーネ修道院であれば戦火にあう可能性がないと判断し、修道院付礼拝堂の祭壇下の地下聖堂に保管したのである。

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トリノ大聖堂のフォサッティ枢機卿は戦後になって、「侵略者たちは聖骸布の情報を収集していた」と指摘し、聖骸布を隠したのは正しかったとする公開書簡を発表した。カルディン神父によると、ヒトラーが38年にイタリアを訪問した際、随行員たちは聖骸布について極めて執拗な質問をしており、ナチスドイツが略奪を画策していたのは間違いないという。

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これに対しては証拠がないとの批判が専門家から出ているが、ナチスはウィーンのホーフブルク宮殿にあった聖槍をオーストリア併合直後にドイツに持ち去っており、新説はあながち根拠がないとも言えないようだ。

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聖骸布は普段はお目にかかることができないが、今年は10年ぶりに一般公開されている(5月23日まで)。

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