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2010/7/21

総合 - ドイツ経済ニュース

GM作物栽培の可否、判断権限を加盟国に=欧州委提案

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は13日、遺伝子組み換え(GM)作物の栽培を認めるかどうかの判断をEU各国に委ねる方針を打ち出した。GM作物をめぐる加盟国間の対立を解消して認可手続きの迅速化を図るのが狙い。厳格な安全性評価に […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は13日、遺伝子組み換え(GM)作物の栽培を認めるかどうかの判断をEU各国に委ねる方針を打ち出した。GM作物をめぐる加盟国間の対立を解消して認可手続きの迅速化を図るのが狙い。厳格な安全性評価に基づくGM作物の認可制度は維持したうえで、EUが科学的に安全と認定した品種に関しても、加盟国が国内での栽培を独自に禁止または制限できるようにする。

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新制度への移行にはEU加盟国と欧州議会の承認が必要。GM作物の栽培を認可した国と禁止した国が隣接する場合の汚染防止策などをめぐって調整が難航する可能性もあり、議論は曲折が予想される。

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欧州委は域内農業の競争力強化を図るため、農家の選択肢を増やして非GM作物とGM作物の共存を推進すべきだとの立場だが、EU内ではスペインや英国をはじめとする推進派とフランスを中心とする反対派の対立が続いている。このためGM作物の新規認可が停滞しているうえ、EUが認可したGM作物に対する実際の対応も国によって異なる。たとえば米モンサントが開発したGMトウモロコシ「MON810」は域内での栽培が認められているが、商業栽培されているのはスペインやポルトガルなど6カ国にとどまり、フランス、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ギリシャ、ルクセンブルクの6カ国は独自に国内での栽培を禁止している。

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欧州委はこうした現状を踏まえ、加盟国がそれぞれの実情に応じて栽培認可の是非を判断できる仕組みを提案した。これによると、各国政府は健康や環境への影響分析以外に倫理面や社会経済的な根拠に基づいて、独自にGM作物の栽培を禁止または制限することができるようになる。ただし、EUレベルで栽培が認可されたGM作物の輸入や流通・販売を阻止することはできない。

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同委はまた、通常の作物や有機作物とGM作物の共存措置に関しても各国・地域の条件に応じて柔軟に対策を講じることを認め、GM汚染を防止する考え。共存措置では十分に汚染を防ぐことができない場合は、特定の地域でGM作物の栽培を禁止する「GMフリーゾーン」を設けることも認めるとしている。

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