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2010/7/21

経済産業情報

産業廃棄物の輸入が増大

この記事の要約

汚染した土壌やがれき、危険物質が付着したスクラップなど特別産業廃棄物の輸入量がドイツで増大している。連邦環境庁(UBA)によると、2009年は前年比70万トン増の760万トンに拡大。ドイツ自然保護連盟(NABU)は「ドイ […]

汚染した土壌やがれき、危険物質が付着したスクラップなど特別産業廃棄物の輸入量がドイツで増大している。連邦環境庁(UBA)によると、2009年は前年比70万トン増の760万トンに拡大。ドイツ自然保護連盟(NABU)は「ドイツが欧州のゴミ捨て場になる」と懸念している。これに対し、独二次資源再生・廃棄物処理事業者連盟(BVSE)は「廃棄物処理で最先端の技術を持つドイツで処理した方が、他の国で処理するより環境に優しい」と反論。廃棄物処理施設を運営する自治体の収入増にもつながると指摘する。日刊紙『ヴェルト』が報じた。

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独廃棄物処理事業者連盟(BDE)によると、国内の廃棄物処理施設の処理能力はもともと過大で、現在200~400万トンの余剰処理能力を抱えている。処理施設の新設計画があるため、2020年には余剰能力が900万トンに達する見通しで、これが国外からの特別廃棄物受け入れを後押しする。

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輸出を行うのはオランダやフランス、イタリア、オーストリア、ポーランドなど近隣諸国。今後は最新の処理施設が少ない東欧諸国からの輸入が増加する見通しだ。

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輸入する特別廃棄物の大半を占めるのは、汚染土壌やアスベストを含んだ廃棄物、塗料や染料の付いた廃材。昨年はオーストリアで高速道路建設が始まったことから、がれきの輸入量も増えた。

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適切に処理された特別廃棄物は再利用できることが魅力だ。オースリアから輸入した大量のがれきはドイツ国内の砂利採取場の再緑化に利用された。廃棄物を燃焼した時に発生する熱を発電に利用すれば、売電で収入が得られる。また、廃家電などから希少金属が見つかる場合もあり、貴重な地下資源の再利用にもつながる。

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