欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/5/25

総合 - ドイツ経済ニュース

EUがカドミウム規制強化、プラスチックなどへの使用禁止へ

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は20日、今年12月からすべてのプラスチック製品、アンティークを除く宝飾品、ろう付棒へのカドミウムの使用を禁止すると発表した。EUの化学物質規制「REACH」の付属書XVII(調剤および成形品 […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は20日、今年12月からすべてのプラスチック製品、アンティークを除く宝飾品、ろう付棒へのカドミウムの使用を禁止すると発表した。EUの化学物質規制「REACH」の付属書XVII(調剤および成形品の製造・上市・使用の制限)に新たな対象物質として記載され、全面的に使用が禁止される。

\

カドミウムは発がん性物質として知られ、以前は着色料などにも使われていた。EUは1988年以来、カドミウムの使用に関するさまざまな規制を導入しており、2004年以降は電池や家電製品への使用が厳しく制限されている。しかし、ポリ塩化ビニル(PVC)をはじめとするプラスチック製品の安定剤や溶接材料のろう付棒については危険性の少ない代替物質の実用化が遅れ、これまでカドミウムの使用が認められてきた。一方、宝飾品に関しては、主に域外から輸入された模造品にカドミウムが含まれているケースが多く見られ、欧州委は厳しい規制が必要と判断した。

\

欧州委のタヤーニ副委員長(産業政策担当)は「カドミウムの代替物質はすでに開発されており、新たな規制は消費者と産業界の双方にとって朗報といえる」と強調。ポトチュニク委員(環境担当)は「宝飾品へのカドミウムの使用を禁止することで消費者、特に子供を危険から守ることができる」とつけ加えた。

\

欧州委はプラスチック製品へのカドミウムの使用を禁止する一方、カドミウムを含むPVCの再利用を促進するためのルールを新規制に盛り込んだ。PVCは貴重な素材でくり返し利用可能なことから、専用のロゴマークの表示を義務づけたうえで、ごく少量のカドミウムを含むPVCを建築資材として流通させることを認めている。

\