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2011/6/8

経済産業情報

「持続可能なパーム油」に向け独でフォーラム始動

この記事の要約

持続可能なパーム油の生産・流通を目指す「持続可能パーム油フォーラム」がこのほど、ドイツで産声を上げた。立ち上げたのは流通大手REWE、化学大手Henkel、蘭食品・日用品大手Unilever、世界自然保護基金(WWF)、 […]

持続可能なパーム油の生産・流通を目指す「持続可能パーム油フォーラム」がこのほど、ドイツで産声を上げた。立ち上げたのは流通大手REWE、化学大手Henkel、蘭食品・日用品大手Unilever、世界自然保護基金(WWF)、ドイツ国際協力公社(GIZ)の5機関。ベルリンで5月18日に開催されたキックオフ・ミーティングには小売業、非政府団体、省庁などから100人以上が集まり、関心の高さがうかがわれた。

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パーム油は世界の植物油生産量全体の34%に上り(Oil World調べ)、大豆と並ぶ重要な天然植物油だ。ココヤシの実からとれるヤシ油、アブラヤシからとれるパーム油とアブラヤシの種子からとれるパーム核油の3種類があり、ビスケット、チョコレート菓子、調理油など食用のほか、洗剤や化粧品などの工業原料として広く利用されている。パーム油の2010年世界供給量は5,100万トンで、このうち130万トンがドイツで使用された。主な生産国はマレーシアとインドネシアで、両国だけで全体の8割以上を占める。

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パーム油は世界的に需要増が続く一方で、プランテーションの乱開発による熱帯雨林破壊や劣悪な労働環境といった深刻な問題が浮上している。こうした事情を受けて、環境と人権に配慮したパーム油に対する関心が高まっており、2004年にはUnileverやWWFなどを発起人とする「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)が設立。08年には同機関による認証制度がスタートした。ドイツからはこれまでに44機関が参画しており、今回フォーラムを立ち上げたREWE、HenkelはUnileverとともにRSPOのメンバーだ。

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持続可能パーム油フォーラムはRSPOの認証制度の発展・改善に寄与するとともに、ドイツ、オーストリア、スイスのドイツ語圏で認証パーム油の流通促進を目指す。キックオフ・ミーティング参加者に実施したアンケートでは、75%がフォーラムでの活動に関心があると回答しており、手ごたえはまずまずだったようだ。正式の活動開始は今年秋を予定している。

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