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2011/6/22

ゲシェフトフューラーの豆知識

事業所委の事務所所在地、雇用主が一方的に決定できないことも

この記事の要約

雇用主は従業員の利害を代表する事業所委員会(Betriebsrat)の活動(会議、従業員の相談業務など)に必要な空間を会社の経費で提供しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記された義務である […]

雇用主は従業員の利害を代表する事業所委員会(Betriebsrat)の活動(会議、従業員の相談業務など)に必要な空間を会社の経費で提供しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記された義務である。この空間については特に規定がないが、雇用者団体が労働組合と結ぶ労使協定に特別な規定がある場合は注意を要する。今回はコトブス労働裁判所が昨年12月に下した判決(訴訟番号:6 BV 19/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのは大手小売チェーンの地区事業所委員会で、計22支店の従業員およそ100人を代表している。同委はこれまで事務所として利用してきた支店Aの閉鎖決定を受け、別の支店Bへの移転を要求。これに対し経営陣が事業所委員長の勤務先から5キロも離れた不便な支店Cを移転先に指定したため、提訴した。

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第1審のコトブス労裁は原告勝訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、事業所委の事務所所在地の決定に当たっては事業所委員長ないし事業所副委員長の勤務地を優先するとした労使協定の規定を指摘。雇用主が指定した移転先はこの規定に反するとの判断を示した。また、事業所(副)委員長が勤務する支店に事務所を設置できない場合は、可能な限り支店から2キロ以内の場所にオフィスを借り受けるよう被告企業に命令した。2キロまでであれば徒歩で無理なく移動できるとの判断に基づく。

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