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2011/8/10

ゲシェフトフューラーの豆知識

障害者の即時解雇で判決

この記事の要約

障害者の解雇のハードルは健常者よりも高い。障害者は不当な差別に遭いやすいためで、第9社会法典(SGB Ⅸ)85条には障害者を解雇する際は障害者社会統合局(Integrationsamt)の承認を得なければならないと明記さ […]

障害者の解雇のハードルは健常者よりも高い。障害者は不当な差別に遭いやすいためで、第9社会法典(SGB Ⅸ)85条には障害者を解雇する際は障害者社会統合局(Integrationsamt)の承認を得なければならないと明記されている。ここではオーバーハウゼン労働裁判所が6月に下した判決(訴訟番号: 2 Ca 563/11)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのはオーバーハウゼン市傘下の団体に勤務していた障害者の職員。市当局は同職員が約1万7,500ユーロの横領を行っていたことが発覚したことを受けて、障害者社会統合局に即時解雇の許可を申請。同局は2011年3月8日に許可を出し、市当局は翌9日に解雇通告した。

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これに対し同職員は、解雇は障害者社会統合局の承認が出次第、速やかに通告しなければならないとしたSGB Ⅸ91条5項の規定を指摘。統合局の承認の当日でなく翌日に解雇を通告したことはこの規定に反するとして、解雇無効を訴えた。

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第1審のオーバーハウゼン労裁はこれに対し、承認の翌日の解雇通告は遅延に当たらないと指摘。原告の訴えを棄却した。

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