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2011/10/26

総合 - ドイツ経済ニュース

介護社員の労働時間短縮、1月施行へ

この記事の要約

ドイツ連邦議会(下院)は20日、家族介護法案を可決した。同法案は被用者が家族を介護しながら職業生活を継続できる環境の整備を狙ったもので、来年1月1日から施行される。\ ドイツには介護を受ける市民が225万人おり、そのうち […]

ドイツ連邦議会(下院)は20日、家族介護法案を可決した。同法案は被用者が家族を介護しながら職業生活を継続できる環境の整備を狙ったもので、来年1月1日から施行される。

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ドイツには介護を受ける市民が225万人おり、そのうちの150万人以上は自宅で生活している。また、就労者の65%は家族の介護を可能な限り自らの手で行いたいと考えている。

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だが、これまでは実際に介護を行うと職業生活との両立が難しいという現実があった。来年からは介護期間中の被用者の週勤務時間が2年間を上限に15時間まで引き下げられるようになる。

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勤務時間が減ると、通常はそれに比例して給与支給額も減少し被用者が生活に行き詰る恐れがあるため、介護期間中の給与の減少幅は緩和される。具体的には将来の給与の一部を企業が前払いする。例えばフルタイムの被用者が勤務時間を半分に減らした場合は介護開始前の支給額の75%が支給される。前払いされた給与は介護終了後に社員の給与から天引きの形で返済される。

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給与の前払い支援に向けては政策金融機関のKfWグループが企業に無利子の貸付を行う。企業は社員からの天引き額をKfWへの返済に充てればよいため、給与の前払いに伴う負担を全面的に回避できる。また、被用者が就労不能となり職場に復帰できない場合、企業は前払いした給与を回収できず損失を被るため、同制度を利用する被用者は前払い給与の不回収防止を目的とする保険に加入することが義務づけられる。保険料は10~15ユーロ程度となる見通し。

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介護時短制度を利用する社員は雇用主とそれぞれ契約を結ぶ。契約内容は法案の枠内で自由に取り決めることができる。

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