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2011/10/26

経済産業情報

完成品の「原産国」規定案、原料の国外調達比率が基準に?

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会が「原産国」の判断基準を変更する方向で検討しているもようだ。20日付『ハンデルスブラット』紙によると、欧州委のアルギルダス・シェメタ委員(税制・関税同盟、監査・不正防止担当)は、従来の「実質的 […]

欧州連合(EU)の欧州委員会が「原産国」の判断基準を変更する方向で検討しているもようだ。20日付『ハンデルスブラット』紙によると、欧州委のアルギルダス・シェメタ委員(税制・関税同盟、監査・不正防止担当)は、従来の「実質的な変更をもたらし新しい特性を与える行為が最後に行われた国」という規定を、国外からの部品調達比率によって決定する方式に改めることを提案したという。同案に従えば、構成部品の45%以上を韓国で生産していれば、たとえインドの工場で完成品にしても「韓国製」とみなされることになる。

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原産国基準の見直しのきっかけとなったのは、反ダンピング関税をめぐる係争だ。中国産のスチール繊維を北朝鮮の工場で束ね上げてワイヤーにした製品に対し、EU税関当局は「北朝鮮産」として反ダンピング関税を課した。これに対して同ワイヤーを輸入したドイツの業者は「北朝鮮では束ね上げただけであり、これを原産国とみなすのはおかしい」として提訴。欧州司法裁判所は「原産国の判断は、最後に実質的な変更を加えた場所だけでなく、他の基準も考慮する必要がある」との判断を示した。ただ、具体的な基準は提示していない。

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シェメタ委員の提案には産業界から批判が噴出している。在ブリュッセル独商工会議所の担当者は「反ダンピング関税の対象となるごくわずかの輸入品のために、健全に機能している大多数の輸入品のシステムを変更するのは不適切な措置で、欧州の貿易全体を脅かしかねない」と批判した。

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