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2011/11/2

総合 - ドイツ経済ニュース

企業再建のチャンス拡大、新法案可決で

この記事の要約

ドイツ連邦議会(下院)は10月27日、企業再建促進法(ESUG)案を与党の賛成多数で可決した。経営が悪化した企業の早期再建を通して雇用を維持することが同法案の最大の狙いで、債権者の権利も強化される。2013年1月1日付で […]

ドイツ連邦議会(下院)は10月27日、企業再建促進法(ESUG)案を与党の賛成多数で可決した。経営が悪化した企業の早期再建を通して雇用を維持することが同法案の最大の狙いで、債権者の権利も強化される。2013年1月1日付で施行の予定だ。

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ドイツではこれまで、倒産に伴う経営権の喪失を恐れる経営者が会社更生手続きの適用申請を先延ばしし事態が悪化するケースが多かった。このため新法案では経営権温存型企業再建のハードルを大幅に低減。経営者は倒産の可能性が出てきた段階で裁判所に申請を行うと、3カ月間の支払い猶予が認められる。また、この間に再建計画を作成し、自らの手で経営再建を進めていく。このルールは米国の連邦破産法11章の規定を参考に策定された。

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管財人はこれまで、裁判所が決定してきた。今後は裁判所が選んだ管財人を債権者が拒否できるようになる。これにより、管財人選定手続きの不透明感が解消されるとともに、有能な管財人が選ばれる可能性が高まる。

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未回収の債権を倒産企業の資本(株式など)に転換すること(デット・エクイティ・スワップ)を、従来の会社所有者が拒否する権利も大幅に制限される。これにより財務の改善が進みやすくなる。また、債権者は株式配当などを通した債権回収に道が開けるため、債権放棄よりも損失を小さくできる可能性がある。

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