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2011/11/2

経済産業情報

洋上風力発電、設置・運営でトラブル続き

この記事の要約

洋上風力発電パークの需要がドイツで拡大するなか、プロジェクト会社や電力会社はプラントの建設・運営で大きな困難に直面している。周辺諸国よりも厳しい設置環境下でも作業できる支援船の不足に加え、保険規定で波の高さが2メートルを […]

洋上風力発電パークの需要がドイツで拡大するなか、プロジェクト会社や電力会社はプラントの建設・運営で大きな困難に直面している。周辺諸国よりも厳しい設置環境下でも作業できる支援船の不足に加え、保険規定で波の高さが2メートルを超えるとクレーン船の作業ができなくなるといった問題もあるためだ。建設現場の洋上で2メートルの波は珍しくないことから、プラント設置や保守・点検作業の遅延が避けられなくなっている。

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連邦政府は洋上風力発電の総出力を現在の185メガワット(MW)から2030年までに2万5,000MWへと引き上げる目標を掲げている。しかし、稼働にこぎつけた大型オフショアパークは現在Alpha Ventus、Bard Offshore I(北海)、Baltic 1(バルト海)の3パークに過ぎない。

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陸地からは40キロ以上も離れ、天候条件が陸上や海岸よりも厳しいことがネックとなっている。『ヴェルト』紙によると、昨年4月に公式運転を開始したAlpha Ventusは、開所式からわずか数週間後にタービンの半数が停止。壊れたローターなどを陸地に運び、修理・再組み立て経て稼働を再開するのに3カ月を要した。今年5月に運転を開始したBaltic 1は定期点検のために9月11日から5日間の予定で停止したものの、実際には3週間以上、運転できなかった。同発電所を運営するEnBWは理由を明らかにしていない。また、『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によるとBard Offshore Iでは、これまでに敷設された18基のタービンの一部が現在、稼働を中止している。

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荒波で作業中断を余儀なくされるのは支援船だけではない。風力発電プロジェクト会社Windcom Schleswig-Holsteinによると、波が荒いなど条件の悪い日にはスタッフの2~3割が現場に到着する前に船酔いして作業ができなくなるという。このため、ヘリコプターによるスタッフ輸送など、当初想定していなかった取り組みを余儀なくされている。

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