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2011/11/9

企業情報

Merck KGaA―組織スリム化へ―

この記事の要約

製薬・化学大手の独Merckが大がかりな組織再編に着手する。業務効率を引き上げてコストを削減することが狙いで、来年1月1日から管理職の階層を削減するほか、各国子会社に対する本社の統制力を強化。意思決定を速やかに下せる体制 […]

製薬・化学大手の独Merckが大がかりな組織再編に着手する。業務効率を引き上げてコストを削減することが狙いで、来年1月1日から管理職の階層を削減するほか、各国子会社に対する本社の統制力を強化。意思決定を速やかに下せる体制を構築する。同社のカールルートヴィヒ・クレイ社長が『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』紙に対し明らかにした。

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多発性硬化症治療薬「Cladribin」の販売許可を欧米当局から得られず、開発中止に追い込まれたことが組織再編のきっかけとなった。年商10億ユーロ超のヒット商品に育つと見込んでいた計算が無に帰したためで、Merckはこの穴を埋めるために組織をスリム化してコストを削減する。

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医薬品の開発にもメスを入れる方針で、フェーズ3(臨床試験の最終段階)に偏ったパイプラインのあり方を是正し、それ以前の段階の医薬品を拡充する。フェーズ3はコストがかさむため、開発に失敗すると痛手が大きいという事情が背景にある。

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同社長はこのほか、2013年末までは大型買収を見合わせる意向も明らかにした。Merckは化学事業の多角化に向けて2010年に米Milliporeを72億ドルで買収したため、債務が膨らみ、財務の余力が乏しくなっている。

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