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2011/11/9

経済産業情報

風力発電の強制停止が大幅増、送電インフラ整備の遅れで

この記事の要約

独風力エネルギー全国連盟(BWE)がこのほど発表した風力発電の稼働状況に関する調査レポートによると、電力事業者が2010年に風力発電装置の稼働を強制的に停止させた日数は107日となり、前年の65日から大幅に増加した。風力 […]

独風力エネルギー全国連盟(BWE)がこのほど発表した風力発電の稼働状況に関する調査レポートによると、電力事業者が2010年に風力発電装置の稼働を強制的に停止させた日数は107日となり、前年の65日から大幅に増加した。風力発電の拡大に高圧送電インフラの整備が追いついていないことが主因で、停止回数は前年の285回から1,085回へと急増している。調査は再生可能エネルギーコンサルティング企業のEcofysがBWEの委託を受けて実施した。

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送電網の能力不足を理由に発電を見合わせた電力の量は09年の1.5~1.7倍に拡大した。風力発電設備が集中する北海・バルト海から主要消費地の南部に電力を輸送する高圧送電網の整備が遅れているためだ。09年、10年とも風況は比較的弱く、Ecofysの担当者は、嵐による強風など安全上の理由で稼働停止が増えたわけではないと指摘する。風力発電の新規設置は増加しており、送電ネットワークの整備が進まなければ強制停止の回数は今後、さらに増えるという。

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風力発電運営者は2009年の改正再生可能エネルギー法(EEG)に基づき、強制停止で生じた損害の補償が受けられるようになった。補償金は消費者が負担する再可エネ電力助成金によって賄われるため、発電所運営者は送電ネットワーク監督当局(BNetzA)に損害を届け出る義務があるが、BNetzAが10月に発表した10年統計データとEcofysの調査結果には122ギガワット時の開きがあった。BWEのアルバース会長はAFP通信とのインタビューで、「運営者は強制停止の規模を正確に届け出ておらず、法的義務を果たしていない」と批判、改善を求めた。

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