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2011/11/9

経済産業情報

アップル製品が独で販売仮差し止めに、モトローラの訴訟で

この記事の要約

自社の特許2件を侵害されたとして米モトローラが米アップル(Apple Inc.)を相手取って起こしている係争で独マンハイム地方裁判所は4日、当該特許を使用するアップルのモバイル機器の国内販売を差し止める仮処分命令を下した […]

自社の特許2件を侵害されたとして米モトローラが米アップル(Apple Inc.)を相手取って起こしている係争で独マンハイム地方裁判所は4日、当該特許を使用するアップルのモバイル機器の国内販売を差し止める仮処分命令を下した。独特許専門家のフローリアン・ミュラー氏がブログに投稿した文書から明らかになったもので、アップル側も文書の真正性を認めた。ただ、実質的な影響はほとんどないもよう。

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ミュラー氏が投稿した判決文によると、アップルによる特許侵害が認められたのは、パケットベースの無線システムで端末側からのデータ送信の間にカウントダウンを行う機能に関する特許(欧州特許:EP 1010336 B1)と、複数のページャー(小型の液晶端末にデータ送信する移動通信システム)のステータスを同期させるシステムおよび方法に関する特許(EP 0847654 B1)の2件。アップル側は口頭弁論に出席しておらず、仮処分決定はモトローラ側の主張のみを考慮した「欠席判決」だ。

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ただ、今回の係争ではアップルの米本社が訴えられており、ドイツ国内で実際に販売を担当する独子会社は全く対象になっていない。さらに、仮処分決定では具体的な機種名が一切挙げられていない。アップルの広報担当者はIT専門サイトCNETに対し、「今回の判断はあくまで訴訟手続き上の措置で、最終的な判決とは全く関係がない」とコメント。ドイツでの製品販売には現在のところ、まったく影響が出ていないと強調した。IT関係者の間でも、今回の仮処分決定はモトローラの象徴的な勝利に過ぎないとの見方が大勢を占める。

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一方、ミュラー氏は、「アップルのウェブサイトとオンラインショップは米アップルが運営者として登録されているため、影響が出る恐れがある」と指摘。また、「アップル側が不利な仮処分を阻止できなかったとすれば、それなりの理由が隠されている可能性がある」との見方を示した。

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