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2011/11/9

経済産業情報

サムスン特許戦略が欧州委の調査対象に

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は3日、韓国サムスン電子と米アップルに対し、移動体通信システムの規格に関する特許権の行使状況についてEU競争法に基づく調査に着手したことを明らかにした。アップルは移動体通信規格に関連する特許を […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は3日、韓国サムスン電子と米アップルに対し、移動体通信システムの規格に関する特許権の行使状況についてEU競争法に基づく調査に着手したことを明らかにした。アップルは移動体通信規格に関連する特許をほとんど所有していないため、今回の調査は実質的にサムスンを標的にしたものとみられる。両社は現在、10カ国で特許訴訟を抱えており、欧州委がサムスンの商慣行を競争法違反と判断した場合、同社はアップルとの訴訟で不利な立場に置かれることになる。

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欧州委の報道官は「サムスンとアップルに対し、移動体通信に関連した標準特許の行使について情報提供を求める書簡を送った」と説明。これは競争法調査の通常の手続きであり、現時点でこれ以上はコメントできないとつけ加えた。

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サムスンは欧米だけでおよそ1万1,500件に上る移動通信関連の特許を出願しており、各地で特許侵害を根拠とする訴訟戦略を展開してスマートフォン市場などでビジネスを有利に展開しようとしている。欧州委は同社が「公正、合理的、かつ非差別的に」使用を許諾しなければならない「FRAND」と呼ばれる技術標準で特許権を主張して、ライバルの生産活動を妨害しているとの疑いを強めているもよう。FRANDはある製品の製造に不可欠な標準特許に関しては、合理的な水準の対価を支払うことで、誰でもその特許を利用して生産活動が行えるというもので、標準特許を持つ企業が後発メーカーの活動を妨害できないようにするための仕組み。EUは市場支配的地位を持つ企業による競争制限的行為を厳しく規制しており、サムスンが特許侵害を主張している技術がFRANDに該当する場合、競争法違反と認定する可能性が高い。

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