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2011/11/9

ゲシェフトフューラーの豆知識

不法就労でも労災適用

この記事の要約

不法就労者には失業保険を受給する権利もなければ、公的健康保険に加入することもできない。だが、被用者としての権利が全くないかと言うと、そうではない。ここではヘッセン州労働裁判所が1日に下した判決に即してこの問題をお伝えする […]

不法就労者には失業保険を受給する権利もなければ、公的健康保険に加入することもできない。だが、被用者としての権利が全くないかと言うと、そうではない。ここではヘッセン州労働裁判所が1日に下した判決に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのは就労ビザを持たずに観光ビザで入国した20歳のセルビア人青年。この青年はドイツ在住の伯父の斡旋で建設現場で働いた際、感電して大やけどを負い、手足を切断する破目になった。これを受け労災保険の適用を同業者傷害保険組合に申請したところ、拒否されたため提訴した。

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同組合は(1)原告が労働契約を結んでいない(2)自営業者として働いていた可能性もある――として、労災認定を拒否した。

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これに対し第2審のヘッセン州労裁は、違反行為があっても労災保険の適用は除外されないとした第7社会法典7条の規定を指摘。労災は労働契約の有無に関わりなく適用されるとして、原告勝訴を言い渡した。また、被告の(2)の主張についても、原告は時間給を受給し、仕事に必要な道具や手袋は雇用主から支給されていたと指摘して退けた。

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