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2011/11/30

経済産業情報

軽油とガソリンの価格差縮まる、新興国・暖房油需要の拡大で

この記事の要約

ドイツ国内で軽油とガソリンの価格差がほとんどなくなっている。軽油の国際価格上昇と、ほぼ同じ精製プロセスを踏む暖房油(灯油)の需要増が主因。連邦財務省は「自動車燃料に対する税収はすでに政府予算に組み込まれており、市場動向に […]

ドイツ国内で軽油とガソリンの価格差がほとんどなくなっている。軽油の国際価格上昇と、ほぼ同じ精製プロセスを踏む暖房油(灯油)の需要増が主因。連邦財務省は「自動車燃料に対する税収はすでに政府予算に組み込まれており、市場動向に合わせて税額を下げることはできない」としており、ディーゼル車ドライバーの受難はしばらく続きそうだ。23日付『ヴェルト』紙が報じた。

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連邦政府は陸運業界や長距離ドライバーの負担を軽減する目的で、1990年代半ばから軽油の鉱油税をガソリンより低く設定している。税額は現在リッター当たり47セントで、ガソリン(65.5セント)の7割程度にとどまる。付加価値税(VAT)を含めた税負担額の平均は軽油が70セント、ガソリンが89セントで、軽油は19セント低い(11月21日時点)。

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一方、課税前の燃料価格(ロッテルダム市場価格)はガソリンの59セントに対し、軽油は74セントで15セント高い。税負担の軽減措置がなければ軽油の市販価格はガソリンを大きく上回る。

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市販価格差は年々縮まっており、全ドイツ自動車クラブ(ADAC)によると、2009年の20セントから10年には19セント、今年1-10月期には12セントへと縮小した。11年通期では10セントとなる見通し。

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軽油価格上昇の大きな原因は、新興国を中心に需要が高まっていることだ。また、トタル、シェル、BPなどの欧州石油大手が「西欧での製油事業は収益性が低い」として生産能力を縮小した影響で、需要の急増に迅速に対応できないこともネックとなっている。冬シーズンの到来で軽油と同じ中間留分に区分される暖房油の需要が増加したため、軽油は供給不足に陥っていると業界関係者は指摘する。

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