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2011/11/30

経済産業情報

リースター年金は「抜本見直し必要」=経済研究所

この記事の要約

有力研究機関のドイツ経済研究所(DIW、ベルリン)は23日、導入から今年で10年を迎えた公的助成付き個人年金制度(リースター年金)に関する調査報告書を発表し、同年金は「利回りが低いうえ手数料は高い」などと批判。保険料の計 […]

有力研究機関のドイツ経済研究所(DIW、ベルリン)は23日、導入から今年で10年を迎えた公的助成付き個人年金制度(リースター年金)に関する調査報告書を発表し、同年金は「利回りが低いうえ手数料は高い」などと批判。保険料の計算方法も不透明で加入者より保険会社にメリットが大きいとして、政府に制度の抜本的な見直しを求めた。「大半の加入者にとっては貯金箱にへそくりをためるのと変わらない」としている。

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リースター年金は任意加入の確定拠出型個人年金。財務がひっ迫する公的年金の給付水準低下を補う目的で、2001年に導入された。拠出(払込)時に政府による助成措置が受けられ、受給時には助成金を含む元本が全額保証される。

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DIWによると、2011年6月末時点の加入者数は1,480万件で、加入資格者の4割弱しか利用していない。加入率は社会階層によって大きく異なっており、西部ドイツでは大卒男性の加入率が35.5%に上るのに対し、基幹学校卒(中卒)以下の男性は同17%にとどまる。低所得層や移民系市民でも加入率は低く、「全国民が安心して老後を暮らせる」という所期の目的は全く達成されていない。

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制度は導入後、何度か改正されたものの、加入者はほとんど恩恵を受けていない。例えば05年の改正で期待余命が不自然に長く設定された結果、利率は大きく低下したという。DIWの担当者は「11年に35歳で加入した女性が支払保険料と助成金を回収するには77歳まで生きなければならない」と指摘。インフレ率を加味した実質ベースで元を取るにはさらに長生きしなければならないとして、現行制度は改善の余地が大きいとの見解を示した。

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今回の報告書は政府への改善勧告を目的に作成したもので、DIWは加入者に対し、早合点して解約に走らないよう注意を促している。

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