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2011/12/7

ゲシェフトフューラーの豆知識

帰宅途上の買い食いで心筋梗塞、労災下りず

この記事の要約

通勤途中に事故に遭った場合、原則として労災保険が適用される。だが、通勤や勤務に直接関係のない行動を取ってけがをしたり病気になった場合は労災が認められない。ここではベルリン社会裁判所が10月に下した判決(訴訟番号:S 98 […]

通勤途中に事故に遭った場合、原則として労災保険が適用される。だが、通勤や勤務に直接関係のない行動を取ってけがをしたり病気になった場合は労災が認められない。ここではベルリン社会裁判所が10月に下した判決(訴訟番号:S 98 U 178/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのは企業コンサルティング事業を手がける49歳の男性。2009年5月、帰宅途中にベルリン中央地区でアイスクリームを購入して食べていたところ、地下鉄の電車がホームに入線したため、最後のひとかけを一気に飲み込んだ。

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このアイスの塊は食道に引っかかり、原告はその直後に鈍痛を覚えた。心筋梗塞を発症したのである。

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労災保険機関がこれを労災と認定しなかったため、提訴したが、ベルリン社会裁は原告の訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、労災保険が適用されるのは事故や発病の原因となった行為が業務に必要な場合に限られると指摘。飲食は基本的に業務に必要な行為には分類されないとの判断を示した。

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飲食に伴う事故や発病が労災と認定されるケースについては◇労働力の回復にどうしても必要◇仕事の関係で早食いをしなければならない――などに限られるとの見方を示した。帰宅途上の「買い食い」はこうしたケースに当てはまらないとしている。

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