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2011/12/14

ゲシェフトフューラーの豆知識

委任状無添付の解雇通知、受け入れ拒否の表明は1週間が上限

この記事の要約

解雇権の被委任者が委任状を添付せずに解雇通知を送付した場合、解雇通告を受けた被用者がその受け入れを「速やかに」拒否すると、解雇は無効となる。これは委任状のない法律行為(ここでは解雇通告)に関する民法典(BGB)174条第 […]

解雇権の被委任者が委任状を添付せずに解雇通知を送付した場合、解雇通告を受けた被用者がその受け入れを「速やかに」拒否すると、解雇は無効となる。これは委任状のない法律行為(ここでは解雇通告)に関する民法典(BGB)174条第1文の規定に基づいたルールである。では、同規定にいう「速やか」とは具体的にどの程度の時間を指すのであろうか。この問題について最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が8日に判決(訴訟番号:6 AZR 354/10)を下したのでここで取り上げてみたい。

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裁判を起こしたのは物流企業に勤務していた未成年社員の母親。同社員は試用期間最終日の2008年10月末日付で解雇された。解雇通知はその日のうちに同社員と母親の住居の郵便受けに投かんされた。同社員はその2日後に自宅に戻り、旅行に出ていた母親に電話。解雇通告されたことを説明した。

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母親は旅行から帰宅後の11月3日ないし4日に解雇通知を読み、弁護士に相談。弁護士は13日付の文書で解雇は無効だとの見解を被告の物流企業に伝えた。解雇が被委任者の署名で行われていたにもかかわらず、解雇通知に委任状が添付されていなかったことを根拠とした。

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原告は第1審で勝訴したものの、第2審で敗訴。最終審のBAGも第2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、解雇通知が原告宅の郵便受けに投かんされた時点で送達が行われ、原告の手元に届いたとみなされると指摘。それから2週間近く経った11月13日になって委任状のないことを理由に受け入れを拒否したことはBGB174条第1文にいう「すみやか」に当たらないとの判断を示した。送達されてから1週間が拒否表明の期限だとしている。

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