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2011/12/21

総合 - ドイツ経済ニュース

再可エネの発電能力、2022年までに2.3倍に

この記事の要約

ドイツ連邦ネットワーク庁はこのほど、原発が全廃される2022年の発電能力ベースのエネルギーミックスについて3つのシナリオを公表した。これは再生可能エネルギー発電を大幅に拡充する政策(エネルギー転換政策)の実施に向けた青写 […]

ドイツ連邦ネットワーク庁はこのほど、原発が全廃される2022年の発電能力ベースのエネルギーミックスについて3つのシナリオを公表した。これは再生可能エネルギー発電を大幅に拡充する政策(エネルギー転換政策)の実施に向けた青写真というべきもので、高圧送電網4社はこれらのシナリオに基づいて今後、送電網の増設需要を算出。再可エネ電力の送電量が急増しても安定輸送できる体制を構築していく。同庁のマティアス・クルト長官はシナリオの効果で送電網の建設がスムーズに進むことに期待を表明した。

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再可エネの発電量は天候に大きく左右される。このため送電網もこの変動に柔軟に対応できることが求められる。また、バルト海など北部の海域で今後大幅に増える洋上風力発電パークから電力を主な消費地の南部に大量に送らねばならないという事情もあり、送電網の強化はエネルギー転換政策の重要な課題となっている。

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3つのシナリオはこれを受けて作成された(下の表を参照)。最も現実味の高いシナリオは「B」で、従来型発電施設では二酸化炭素(CO2)排出量が相対的に少ない天然ガス発電所を大幅に増やすものの、同排出量が多い石炭・褐炭発電所についてはすでに着工している施設のみが建設されることを想定している。一方、シナリオAでは再可エネ発電の拡大幅が小さく、石炭・褐炭発電は増加。シナリオCでは再可エネが大きく拡大する。

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標準シナリオであるBを詳細にみると、再可エネの発電能力は2010年の56.3ギガワット(GW)から2022年には2.3倍増の129.8GWへと拡大。国内の発電能力に占める割合は35.6%から59.3%へと増え、従来型発電所(64.4%から40.7%に低下)を大きく上回る。

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伸び率が最も大きいのは洋上風力発電で、130倍の13GWへと増加する。また、太陽光発電は3倍の54GWとなり、陸上風力発電を抜いて最大の発電源となる。

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一方、従来型発電では天然ガス発電の発電能力が24GWから31.3GWへと30%増加する。これは天候次第で発電量が極端に増減する風力・太陽光発電を補うベースロード電源として最も活用されるためで、同シナリオは2032年には天然ガス発電能力が40.1GWまで拡大するとしている。

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一方、石炭・褐炭は2022年の発電能力が43.7GWとなり、2010年の45.3GWからやや後退する。石炭・褐炭発電所は住民の反対運動に直面しやすいため、新設は難しい。CO2貯留技術の確立に向けた法案が宙に浮いていることは追い打ちをかける。

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