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2012/1/4

経済産業情報

ポルシェに新たな損賠訴訟、VW株めぐり

この記事の要約

高級車大手のポルシェが試みたフォルクスワーゲン(VW)買収のしわ寄せで巨額の損失を被ったとしてファンド会社5社は12月30日、ポルシェに対する損害賠償訴訟をシュツットガルト地方裁判所で起こした。合わせて約20億ユーロの支 […]

高級車大手のポルシェが試みたフォルクスワーゲン(VW)買収のしわ寄せで巨額の損失を被ったとしてファンド会社5社は12月30日、ポルシェに対する損害賠償訴訟をシュツットガルト地方裁判所で起こした。合わせて約20億ユーロの支払いを求めている。ポルシェに対してはこのほかにも損賠訴訟が起こされており、両社の経営統合計画の障害は1つ増えた格好だ。

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ポルシェは2008年10月26日付のプレスリリースで、VWに対する出資比率を75%超に引き上げ、支配契約を結ぶとの意向を表明。支配契約を結ばないとしたそれまでの立場を覆した。

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これを受けてVW普通株の株価は翌27日、それまでの約200ユーロから520ユーロへと上昇。28日には一時1,000ユーロを突破し、VW株を大量に保有していたポルシェは数十億ユーロの含み益を獲得した。

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一方、今回訴訟を起こしたファンド5社はポルシェのプレスリリース公表前の時点で、VWの株価は下落すると予想。VW株を売り越していた(ショートポジション)。このため、ポルシェの発表を受けてVW株が急騰したことで損切り注文によって買い戻す措置(ショートスクイーズ)を余儀なくされ、巨額の損出を出した。

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原告のファンド会社は、VWに対する支配契約を結ばないとしてきたそれまでの立場をポルシェが突然、変更したことは違法な株価操作に当たるとして、損賠賠償を求めている。ポルシェの当時の経営陣に対してはシュツットガルト検察当局が株価操作で捜査を進めており、これを根拠とした格好だ。

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ポルシェに対する損賠訴訟はこれまでに独米で3件起こされており、請求額は合わせて36億ユーロに上る。今回の訴訟により合計額は56億ユーロに膨らんだ。

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VWはポルシェを相手取った訴訟と捜査を受けて昨年9月、両社の経営統合の時期が当初予定の同年末までから2012年以降にずれ込むことを明らかにした。訴訟などが片付かないとポルシェの資産を査定できず巨額損賠リスクを引き受けることになるためだ。今回の訴訟は両社の重荷が1つ増えたことを意味する。

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