欧州連合(EU)加盟国から輸入した医薬品の割引販売をめぐる係争で連邦司法裁判所(BGH、最高裁)は12日、処方薬であれば割引販売は認められないとの判断を示した。患者の自己負担額が薬事法で固定されていることが理由。一方、販売それ自体は、薬局側が情報提供・相談対応など業務上の義務を果たしている限り法律上問題はないとした(訴訟番号:I ZR 211/10)。
\バイエルン州南部のフライラッシングにあるE薬局は、国外薬局からの取り次ぎ販売の形で、市価よりも低価格で一般医薬品と処方箋薬を市販していた。同薬局がとっていた手法は◇顧客からの注文を受けた後、ドイツ国内の医薬品卸会社にブダペストの薬局に薬を配達(輸出)するよう発注◇ブダペストの薬局がE薬局に納品(輸出)した薬剤を顧客に販売する――というもの。これに対し同市内の競合薬局は、被告薬局の事業モデルは「国外の薬局によるドイツ顧客への医薬品販売を禁止した薬事法(AMG)73条に抵触するとして提訴した。
\BGHの裁判官はこれについて、ブダペストの薬局は同条項で規定された「国外の薬局」に当たるとしながらも、当該の条項が問題視されるのは「外国の薬局が最終消費者に直接通販する場合に限られる」と指摘。E薬局は、薬を注文した顧客からの相談や情報提供にも応じており、薬の実質的な販売者はE薬局とみなされるとして、法律上問題はないとの判断を示した。
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