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2012/2/8

経済産業情報

インド車の関税撤廃を自動車業界が警戒、恩恵は現代自動車に

この記事の要約

欧州連合(EU)とインドの自由貿易協定(FTA)交渉の行方を、欧州の自動車業界が息をのんで見守っている。インドがEU製品に対する関税を30%に半減する見返りとして、インド製品の輸入関税撤廃を求めているためだ。FTAをめぐ […]

欧州連合(EU)とインドの自由貿易協定(FTA)交渉の行方を、欧州の自動車業界が息をのんで見守っている。インドがEU製品に対する関税を30%に半減する見返りとして、インド製品の輸入関税撤廃を求めているためだ。FTAをめぐるEUとインドの首脳会談(10日)が目前に迫るなか、ドイツ自動車工業会(VDA)のマティアス・ヴィスマン会長は3日付『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙に対し、「インド側の要求が通れば欧州の自動車産業は一方的に不利な立場に置かれ、深刻な打撃を受ける恐れがある」と述べ、懸念を表明した。

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インドは現在、輸入車に対し60%の関税を課している。これに対しEUの輸入関税は6.5%とはるかに低く、インドに有利になっている。欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州からインドに輸出される自動車が年5,000台にとどまるのに対し、インドからの輸入車は同25万台に上り、大きな不均衡が生じている。

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インドの提案をEUが受け入れた場合、最も恩恵を受けるのは韓国の現代自動車だ。同社はインドで欧州向けモデルを生産しており、関税が撤廃されればEU市場での競争力が大幅に高まる。同社欧州法人のアラン・ラッシュフォース社長がFAZ紙に明らかにしたところによると、現代自動車は今年の欧州販売台数を前年比15%増の46万5,000台、市場シェアを0.6ポイント増の3.5%に引き上げる方針を掲げており、関税撤廃はまたとない追い風となる。

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一方、欧州自動車市場は低迷しており、同社と競合する大衆車メーカーのオペルやプジョー、フォード、フィアットは大きな痛手を受ける可能性がある。

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