欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/2/22

経済産業情報

DAX企業、配当額の伸びが人件費上回る

この記事の要約

経済紙『ハンデルスブラット』は15日、DAX(ドイツ株価指数)構成銘柄30社の人件費と配当額に関する調査結果を発表した。それによると、2010年の1株当たり配当額が2000年比で平均87%上昇したのに対し、1人当たり人件 […]

経済紙『ハンデルスブラット』は15日、DAX(ドイツ株価指数)構成銘柄30社の人件費と配当額に関する調査結果を発表した。それによると、2010年の1株当たり配当額が2000年比で平均87%上昇したのに対し、1人当たり人件費は同12%の増加にとどまった。国内の賃金上昇率が比較的低かったほか、人件費の安い国外への事業移転(オフショアリング)が加速したことが大きい。

\

10年前よりも1人当たり人件費が下がったのはアディダス、SAP、インフィニオン、コメルツ銀行の4社。いずれも業務の国外移管や外部委託でコストを引き下げた。特に大がかりな事業移転を押し進めたのはアディダスで、過去10年で国内雇用規模を半分以下に縮小、現在では世界の従業員のうちドイツで働くのは10%に満たない。

\

配当額の伸びが人件費の伸びを上回ったのは21社、人件費の伸びの方が高かったのは半国有化されて無配が続くコメルツ銀行など9社だった。

\

2010年の1人当たり人件費が最も高かったのはドイツ銀行(15万3,711ユーロ)、最も安かったのはメトロ(2万5,061ユーロ)。

\

労働組合は企業が配当性向(当期利益に占める配当額の割合)を強めていることを批判し、従業員に還元するよう求めている。これに対し資本市場の専門家は、給与準備金などの形で流動(現金)資産が増えると敵対的買収のターゲットとなりやすいと指摘。買収・合併(M&G)は多くの場合、人員削減を伴うとして、余剰金を株主に配当することは間接的に雇用の維持につながっているとの見方を提示した。

\