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2012/2/29

経済産業情報

自動車保険業界、メーカーとの提携は“両刃の剣”

この記事の要約

激しい価格競争が続く自動車保険業界で、自動車メーカーとタイアップする事業者が増えている。メーカーを代理店とすると新規顧客を獲得しやすくなるためだ。ただ、メーカーとの力関係から料金・条件などの面で不利な扱いを受けやすいとい […]

激しい価格競争が続く自動車保険業界で、自動車メーカーとタイアップする事業者が増えている。メーカーを代理店とすると新規顧客を獲得しやすくなるためだ。ただ、メーカーとの力関係から料金・条件などの面で不利な扱いを受けやすいというデメリットがある。また、「メーカーの保険サービス」という位置づけで自社ブランド名を表に出せないことから、獲得した顧客に他の保険商品を売り込むのが難しいというジレンマもあるようだ。22日付『ハンデルスブラット』紙が報じた。

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大手自動車メーカーは保険会社と提携し、自動車保険の代理店販売を手がけている。提携メーカーが最も多いのはアリアンツで、BMW、フォルクスワーゲン(VW)、ダイムラー、オペルが取り扱っている。またフォードはGARANTA、メルセデスベンツはHDI Gerlingの保険を代理販売している。

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自動車メーカーは保険会社にとって魅力的な販売チャンネルだ。VWは国内の新車の4台に1台で自動車保険も同時に販売している。ダイムラーが2011年に世界で仲介した保険契約件数は前年比12%増の94万件に拡大した。

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一方、実際には代理販売を行っているに過ぎないにもかかわらず、自動車メーカーが自社のサービスの一環として保険商品をアピールしているケースも少なくない。VWの自動車保険サービスでは、アリアンツの名前は注釈で小さく印刷されているに過ぎないという。

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自動車保険大手HUKコーブルクのハイトマン社長は「名前を表に出せないことで、ブランドとしての価値が失われる恐れがある。また、多くの顧客にとって自動車保険は保険とつきあう最初のきっかけ。メーカーの後ろでわき役に甘んじれば、顧客との関係を発展させることが難しくなる」と述べ、危機感を表明した。

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