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2012/2/29

ゲシェフトフューラーの豆知識

有給休暇の二重取得防止ルールで最高裁判決

この記事の要約

転職前の勤め先で年次有給休暇を取得した被用者が新しい勤め先で同一年に有給休暇を取得することはできない。これは有給休暇法(BUrlG)6条1条に明記されたルールである。では、解雇取り消しを求める訴訟を起こした被用者が係争中 […]

転職前の勤め先で年次有給休暇を取得した被用者が新しい勤め先で同一年に有給休暇を取得することはできない。これは有給休暇法(BUrlG)6条1条に明記されたルールである。では、解雇取り消しを求める訴訟を起こした被用者が係争中に新しい勤め先を見つけたうえ、解雇無効を勝ち取った場合、有給休暇の取り扱いはどうなるのだろうか。これについては法律上の規定がないのだが、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は21日の判決(訴訟番号:9 AZR 487/10)で判断を示し、ルールを明確化した。

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裁判を起こしたのは以前の勤め先A社を2008年に解雇された写真測量の専門家。年次有給休暇は29日あった。同専門家は解雇取り消し訴訟を起こす一方で、新たな勤め先B社で同年中に勤務を開始した。B社での年次有給休暇は21日だった。

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原告はB社への就職後にA社に文書を送付し、08年11月14日~12月30日までの期間について有給休暇の取得を申請した。これが受け入れられなかったため、この件についてもA社を提訴した。

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解雇無効訴訟では原告が勝訴した。一方、有給休暇をめぐる訴訟では第2審までは原告の訴えが認められたものの、最終審のBAGは下級審判決を破棄。原告が被告のA社に申請できる有給休暇の日数はA社の年次有給休暇計29日からB社の同21日を除いた8日間にとどまるとの判断を示した。

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判決理由で裁判官は、解雇訴訟に勝訴した被用者が訴訟中に新たな勤め先で得た収入は被用者が元の雇用主から受け取ることができる訴訟期間中の未払い給与の一部とみなされるとした解雇保護法(KSchG)11条1の規定を指摘。この規定を有給休暇の取り扱いにも「類推適用」*した。

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* 類推適用

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当該事項に関し直接規定する条文がない場合に他の同種の条文を援用する形で適用すること

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