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2012/3/14

経済産業情報

ドイツ鉄道が競合への電力託送料金引き下げ

この記事の要約

電力・通信・鉄道網などの監督機関である連邦ネットワーク庁(BNetzA)は2月29日、ドイツ鉄道(DB)のエネルギー子会社(DB Energie)が申請していた競合業者向けの送配電網利用料金(託送料金)を一部引き下げたう […]

電力・通信・鉄道網などの監督機関である連邦ネットワーク庁(BNetzA)は2月29日、ドイツ鉄道(DB)のエネルギー子会社(DB Energie)が申請していた競合業者向けの送配電網利用料金(託送料金)を一部引き下げたうえで認可した。連邦司法裁判所(BGH)の判決によって当該料金が2005年から事前認可の対象となったことを受けた措置で、現行料金(09~13年分)についてはDBの申請を23%下回る額を上限とした。

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DB EnergieはDB路線を運行する鉄道車両に電力を供給する国内唯一の事業体。BNetzAが電力市場自由化促進を狙って05年に託送料金の事前認可制を導入した後もこれに応じず、独自に設定した料金で営業を続けていた。しかし、最高裁であるBGHが10年の判決で同社の料金もBNetzAの事前認可の対象とするようを命じたことを受け、05~08年の料金の遡及認可申請と、09年~13年の料金の認可申請を行っていた。

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DBの競合企業は、今回の料金引き下げ認可は実質的な効果に乏しいと批判する。鉄道ニュースサイトzughalt.deによると、DB Energieは競合企業向けに現在、託送料金と電力料金セットの場合でキロワット時(kWh)当たり11.55セント、託送料金のみの場合で同6.61セントの料金を設定している。セット料金(11.55セント)から託送料金(6.61セント)を引いた4.94セント/kWh以下で電力を供給できる民間電力会社はないため、他社から電力を購入している鉄道事業者は事実上、存在しない。また、DBの電力網の周波数は通常の50ヘルツではなく、17.5ヘルツに変換されているため、外部の電力事業者は周波数変換処理を行ってからでないとDBの送電網に電力を供給できない。この周波数変換設備の投資コストを踏まえると、外部からの電力購入が採算ベースに乗るのは「相当先のことになる」という。

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