欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/3/14

ゲシェフトフューラーの豆知識

事業所委管理下のデータ、雇用主に閲覧権なし

この記事の要約

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の業務に必要な備品は企業が提供しなければならない。パソコンなどのIT機器もそうしたものの1つである。\ これらの備品の所有権は会社が持っている。では、雇用主 […]

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の業務に必要な備品は企業が提供しなければならない。パソコンなどのIT機器もそうしたものの1つである。

\

これらの備品の所有権は会社が持っている。では、雇用主は事業所委が用いるパソコンやサーバーに保存されたデータを閲覧することができるのであろうか。この問題をめぐる係争でデュッセルドルフ州労働裁判所が7日に判決(訴訟番号:4 TaBV 11/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

\

裁判はノルトライン・ヴェストファーレン州にある企業(便宜上A社とする)が同社の事業所委員会を相手取って起こしたもの。A社では従業員の解雇をめぐって訴訟が行われており、事業所委は同訴訟についての意見書を作成した。文書は作成者の署名がなされていない状態で事業所委のサーバーに保存されていた。

\

雇用主は同委のサーバーにアクセスしてこの文書を閲覧し、文書は雇用主の許可を受けずに勤務時間中に作成された疑いがあると判断。同文書がいつ誰によって作成されたかを履歴調査で明らかにする権利を確認するために裁判を起こした。

\

第1審のヴェーゼル労働裁判所はこの訴えを棄却し、第2審のデュッセルドルフ高裁も第1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、事業所委には紙文書も電子文書も自己責任で管理する責任があると指摘。同委のサーバーやパソコンが会社のものであっても、雇用主にはそこの保存されているデータを閲覧する権利はないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

\