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2012/5/9

総合 - ドイツ経済ニュース

新薬の健保交渉価格、与党が非公開化を検討

この記事の要約

2011年1月に施行された特許薬の価格取り決めに関する法令(AMNOG)について、独与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)はメーカーが公的健康保険組合との交渉で取り決めた「実際の薬価」を非公開とすることを検討し […]

2011年1月に施行された特許薬の価格取り決めに関する法令(AMNOG)について、独与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)はメーカーが公的健康保険組合との交渉で取り決めた「実際の薬価」を非公開とすることを検討しているもようだ。ドイツの薬価を参考にする国外市場で不利になるとする製薬会社の苦情を踏まえたもので、メーカーが設定した「希望価格」を公表するだけで十分としている。これに対し野党は「医療費を抑制するAMNOGの狙いを骨抜きにするものだ」と反発している。2日付『南ドイツ新聞』が報じた。

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AMNOGは新薬の価格をメーカーが自由に決定できたそれまでの方式を、健保との交渉によって取り決める方式へと改めた法令で、膨張の一途をたどる医療費の抑制を狙いとしている。第3者機関によって新薬の治療効果を査定し、既存薬より優れていないと判断された場合は効果が同等の既存薬を薬価の上限とし、治療効果が高いと判断された場合は公的健保との交渉で薬価を決定する仕組み。

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研究開発型製薬工業会(VFA)の委託で作成された鑑定書によると、自国の薬価を決定する際にドイツの薬価を直接・間接に参考にする国は30を超える。割引による実際の取引価格が公開されることで、それらの国でも値下げ圧力が高まり収益性が悪化する、というのがメーカー側の言い分で、CDU/CSUはメーカー側に歩み寄った格好だ。

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これに対し緑の党や社会民主党(SPD)は「メーカー側に一方的に有利で、容認できない」と強く批判しており、法令が改正されるかは定かでない。

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