欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/5/9

経済産業情報

製紙業界、新規事業で紙依存から脱却へ

この記事の要約

原料価格の高騰や印刷用紙の需要低迷に苦しむ製紙各社が、新規事業の開拓や事業整理で生き残りを模索している。フィンランド製紙大手UPMキュンメネは製紙工場の閉鎖などで生産能力を削減するとともに、製紙廃材を原料とする製品の開発 […]

原料価格の高騰や印刷用紙の需要低迷に苦しむ製紙各社が、新規事業の開拓や事業整理で生き残りを模索している。フィンランド製紙大手UPMキュンメネは製紙工場の閉鎖などで生産能力を削減するとともに、製紙廃材を原料とする製品の開発に注力する。2日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』などが報じた。

\

製紙業界は新聞などのデジタル化の影響で欧米を中心に需要が減少し、過剰生産能力を抱え込んでいる。大手メーカーは工場閉鎖を進めているものの、需要過多は解消されていない。『ハンデルスブラット』紙によると、新聞用紙の価格は現在1トン当たり506ユーロ前後で、1年前に比べて6%下落した。製紙業界の採算ラインはトン当たり500ユーロ以上とされており、現行価格は「赤字一歩手前の水準」という。

\

こうした事情を受けて、メーカーは収益性の高い新規事業の開拓を積極的に進めており、UPMは木質繊維とプラスチックを組み合わせた複合材を開発した。また、1億5,000万ユーロを投じてフィンランドのラッペンランタに製紙廃材からバイオディーゼルを生産する工場を建設し、14年から年10万トンのバイオディーゼルの生産を開始する。ペソネン社長によると「研究開発費の8割を新規事業に振り向けている」。

\

同業のSCA(スウェーデン)はトイレットペーパーなど衛生用紙を主軸に据え包装材事業を売却。Stora Enso(フィンランド)は経営資源を包装材に集中する方針だ。

\